スペイン南部で高速鉄道が相次ぎ脱線、マドリード-アンダルシア間の高速列車が全面運休

スペイン南部で高速鉄道が相次ぎ脱線。
2026年1月18日、スペイン南部コルドバ県アダムス(Adamuz)近郊で、重大な鉄道事故が発生した。夕方、同区間を走行していた高速旅客列車2編成が相次いで脱線した。

列車には約300人が乗車しており、負傷者は多数。このうち少なくとも25人が重傷とされ、事故直後から医療チームや救助隊による大規模な救助活動が続けられた。

事故は、最初の列車が脱線し、隣接する線路側に影響を及ぼしたことが引き金となり、その直後に同区間を走行していた別の高速列車も脱線した模様。両列車はいずれも、マラガ、マドリード、ウエルバを結ぶ高速路線を運行中だった。脱線の原因は不明。

2026年1月19日
鉄旅ライフ編集部
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都心の足がストップ。67万人に影響した山手線停電事故の舞台裏

みんなが学校に行こうとしたとき、東京の真ん中を走る「山手線(やまのてせん)」が長い時間止まってしまいました。

原因は、なんと「安全装置(あんぜんそうち)外すのを忘れてしまったこと」なんです。

夜の間に、電車の線路や電線を直す工事をしていました。作業する人が電気に感電(かんでん)しないように、安全のための道具を取り付けていたのですが、工事が終わったあと、それを外すのを忘れて電気を流してしまったのです。

すると、電気がバチバチッと火花を散らしてショートしてしまい、電気を送る設備(せつび)がこわれて電車が動かなくなってしまいました。どこがこわれているのか、ぜんぶ見て回るのに時間がかかったので、電車が長いあいだ止まってしまうことになりました。

停電の仕組み

山手線の停電事故の前に、停電の仕組みをおさらいしておきます。

大きなビルや工場の電気点検でも、全く同じ構図の事故がまれに起こります。箱型変電設備施設がある施設では、6,600Vなどの非常に高い電圧で電力を引き込んでいます。点検作業の際は、作業員の安全を守るため、必ず「短絡接地器具」を取り付けます。問題は、点検が終わったあとです。
もしこの接地用器具を外し忘れたまま送電してしまうと、

接地用器具を付けたまま送電 → 地絡(ショート)発生 → 上位系統の保護装置が動作 → 周辺一帯が停電

という流れが一瞬で起こります。被害は点検していた建物の中だけに留まらず、異常な電流を検知した電力会社側の上位系統の保護装置(遮断器)が作動し、その系統につながっている配電線全体が遮断されます。その結果、事故を起こした建物とは直接関係のない、周辺の住宅や商店、信号機などもまとめて停電してしまう。このように、一つの設備で起きた事故が、関係のない広い範囲へ影響を広げる現象を「波及事故」と呼びます。今回の山手線の停電も、構造としてはこれと同じです。鉄道の電力設備内で発生したと考えると理解しやすいです。

停電の概要

  • 発生日時: 2026年1月16日(金)午前3時50分頃
  • 発生場所: 新橋〜品川間(田町駅周辺の改良工事現場)

作業終了後、検電接地装置(作業中の感電を防ぐため、万一流れ込んだ電流を地面へ逃がす安全装置)を付けたままの状態で送電を開始してしまったことによりショート(地絡)が発生し、大規模な停電につながった。

なぜ復旧に時間がかかったのか

  • 二度目の停電: 一度目の復旧作業を行っていた午前7時48分頃、再び停電が発生。朝のラッシュ時に追い打ちをかけました。
  • 広範囲の点検: 停電の影響範囲が広く、設備に損傷がないか慎重に確認する必要があったため、全線再開は午後1時過ぎまでずれ込みました。

二度目の停電はなぜ起きたのか?

一度目の停電(午前3時50分頃)が起きたあと、現場では「どこでショート(地絡)が起きたのか」を突き止め、その場所を電気の通り道から外す作業を行いました。これを「故障箇所の切り離し」と呼びます。

故障した範囲の「見落とし」

最初のショートによって、電気の通り道にある「がいし(絶縁体)」や「変成器」といった設備が、強い熱や火花でダメージを受けていました。 作業員は原因となった検電接地装置は見つけましたが、その周辺で一緒に壊れてしまった別の設備に気づかないまま、送電を再開しようとしてしまったのです。

送電再開による「再ショート」

午前7時48分、「もう大丈夫ちゃう?」と判断して電気を流した瞬間、まだ壊れていた設備を通して、再び電気が地面へと一気に流れ込みました。

これが「二度目の停電」の正体です。これにより、今度はさらに大元の安全装置(変電所の遮断機)が「やっぱりまだ異常あるやん!」と検知し、再び広い範囲の電気を止めてしまいました。

なぜ「広範囲の点検」が必要になったのか?

二度も大きなショートが発生したことで、JRは「どこまで設備が焼けてしまったか、すべての目視確認が必要だ」という判断に至りました。

  • ショートの際のエネルギーは凄まじく、何kmも離れた場所の通信ケーブルや信号設備を焼損させている可能性がありました。
  • 11駅分にも及ぶ長い区間の電線を、作業員が歩いて、あるいは保守車両を使って一つひとつチェックしなければなりませんでした。

結果として、すべての安全が確認され、全線で運転が再開されたのは午後1時12分。最初のトラブルから約9時間半という、異例の長時間にわたる運転見合わせとなりました。

送電の流れ

通常、夜間工事から送電再開までは以下のステップを踏みます。

現場の全作業が終了

検電(本当に電気が来ていないか最終確認)

接地装置の撤去

声掛け・指差しによる確認

現場責任者が「送電可」を判断

変電所で送電操作

作業班は複数に分かれることが一般的です。A班が自身の担当箇所を外しても、B班が設置した別の装置が一個残っていた。各班の完了報告が集約される過程で、一箇所抜け落ちたままになってしまった。鉄道工事には始発列車という厳格なタイムリミットが存在します。遅延が許されない強いプレッシャーの下では、本来行うべき再確認の手順が抜け落ちてしまったり、正常性バイアスによって「大丈夫だろう」という判断が優先されてしまうことががあるのは鉄道事故報告書ではおなじみだったりします。

日々、時刻通りに正確な運行を続けている日本の鉄道ですが、最終的に点検や整備、操作を行っているのは人間です。どれだけ仕組みが高度化しても、整備の現場が人間である限り、こうしたトラブルが完全になくなるのはまだ先になりそうです。

同様の電気系事故とトラブルまとめ

電車は送電線(架線)から電気を取り込んで走るという特性上、同様の事故はたびたび起こります。 今回の事故と状況が似ているのが、2017年のJR東日本高崎線で起きた「検電接地器具の取り外し忘れ」です。このときも、籠原駅での夜間工事が終わったあと、作業員が「検電接地装置(接地器具)」を外すのを忘れて送電を開始。送電した瞬間に激しいショートを起こし、熱で架線や信号機までも焼けてしまうという事故でした。そのときは復旧までは1日、影響は20万人でした。

原因・場所 主な被害・影響人数
2017年 検電接地装置の取り外し忘れ (高崎線 籠原駅構内) 安全装置を外さずに送電し、激しい地絡が発生。 熱で架線や信号機が焼損。復旧に丸1日を要した。 影響人数:約20万人
2021年 接続部の絶縁不良 (山手線 渋谷駅付近) 移設した電力ケーブルの処理が甘く、雨水が入り込みショート。 朝のラッシュ時に停電。山手線が数時間ストップ。 影響人数:約2万8000人
2023年 架線の老朽化と物理破壊 (根岸線・東海道線) 古くなった架線が垂れ下がり、走行中の電車が衝突。 架線が複雑に絡まり、復旧に難航。乗客が長時間車内に閉じ込められた。
2026年 (今回) 検電接地装置の解除忘れ (山手線 田町駅付近) 工事用の安全装置を外さず送電し、大規模な地絡(ショート)が発生。 二度の停電により半日近く運休。 影響人数:約67万3000人